Hirakawa's Will: Section 01

基盤

「前提は、グローバル展開」

Hondaはいま、製造IoT化に向けた全社基盤を構築している。EG(ホンダエンジニアリング)のミッションは、より生産設備に近いレイヤーでの標準化である。システムのアーキテクチャーやセキュリティについて、グローバル展開を前提とした仕様を検討していく。定型化されたノウハウのない分野への挑戦だ。

Hirakawa's Will: Section 02

範囲

「端から全体まで」

テーマの1つに〈ボディの高精度化〉がある。プレス〜溶接〜塗装〜組立といった各工程の、どの部分で品質のバラツキが発生するのか。そのデータを工程単位、工場単位・全社単位でどう共有すれば解決できるのか。プラットフォームのあり方から、エッジでのデータの取り方までを考えていく。

Hirakawa's Will: Section 03

顕在化

「コンマ1mmのバラツキがある」

たとえば溶接工程なら、サプライヤーから納入する部品も含め、単品の精度を一つ一つ測定して定量化する。公差の範囲内に収まっていても、「これだけのバラツキがある」ということを3Dスキャナでデータ化する。こうした泥臭い作業なくしては、現場に潜む課題を顕在化できない。

Hirakawa's Will: Section 04

「このへんを試してみよう」

単品精度の他にも、溶接の電流値や圧力、固定する冶具の磁力や傾きなども、溶接工程の仕上がりを左右する。稼働率ではなく品質を改善する場合、因子となるのは〈熟練工の勘〉というあいまいなものだ。各センサーをどこに設置するかも、手探りの中で進めていくことになる。

Hirakawa's Will: Section 05

加工

「データを集めるだけでは意味がない」

重要なのは、収集したデータのクレンジングである。どんなデータをどんな形で貯めていくか。工場の各工程の見える化までではなく、仕上がりとの相関関係を分析し、クルマの魅力を高めていくという付加価値を生むことが、Hondaが追求していく製造IoT化の目的に他ならない。

Hirakawa's Will: Section 06

「え? 自分がIoT担当?」

彼がIoTのプロジェクトに携わったのは、入社5年目のことだった。それまで経験したのは、CAD系やインフラ系のシステムである。設備からどうやってデータを取ってくるのかも分からなかった。社内の先輩やITベンダーの担当者に1から学びながら、格闘している毎日である。

Hirakawa's Will: Section 07

町工場?

「魅力は、まったく飽きないこと」

最も難しいと感じるのは、ITの基本ともいえる標準化である。EG社内の溶接領域だけでも、設計・加工・製作と課が分かれ、使っているツールも、考え方も異なる。まるで〈町工場の集まり〉のような組織に、いかに横串を通していくか。驚きや未知の連続で、飽きることがない。

Hirakawa's Will: Section 08

EG流

「まずは小さく生んで、育てる」

各工程やテーマに特化したシステムではなく、プラットフォームにしないと意味がない。だが、入口はボトムアップ型で、各自が正しいと思うことをやる。いろんなことを小さく産んで、育てていく。そうした成功事例を積み重ねて、大きな流れをつくっていくのが、EGのやり方だ。

Hirakawa's Will: Section 09

前人未踏

「自分がパイオニアなんだ」

なにより面白いのは、大きな道筋こそあるが、その進み方は決まっていないことだ。まだ誰も歩いたことのない道だけに、「携わっている一人一人がパイオニアなんだ」という意識はとても強い。自分たちのつくったものがそのまま、Hondaの製造IoTのプラットフォームになっていく。

Hirakawa's Will: Section 10

世界

「全生産拠点が繋がったなら…」

前提は、グローバルでの横展開である。すでに、北米の工場からはデータを収集し、共有している。舞台は、23か国69か所におよぶ生産拠点だ。その隅々までが繋がったとき、クルマづくりはどう進化しているのか? Hondaのことだから、とんでもないことになっているのは確かだ。

PROFILE

平川裕太郎

ITサービス

自動車メーカーに勤務する父親から、モノづくりの面白さを教えられて育ち、大学では制御や機械工学を学んだ。創業者の思いや、四輪・二輪・汎用など多方面への事業展開に惹かれてHondaへと就職した。入社後は、CADやインフラの開発を経て、現在のIoT化プロジェクトに参画している。新しいことを実践するには、机上での検討だけではなく、関連する組織や領域と密に連携し、リアルな課題を感じることが大切だと考えている。

Yutaro Hirakawa