Uchi's Will: Section 01

3軸

「金型開発になにが求められるのか」

バンパーやインパネなど合成樹脂部品の量産における、金型開発を担当してきた。テーマは大きく3つの軸になる。自動運転etcの技術革新を進めるための、高機能化。工場での量産体制を高めるための、効率化と安定化。そして、カーデザインのトレンドをいち早く捉えるための、高意匠化だ。

Uchi's Will: Section 02

凹凸

「クルマの顔をより魅力的に」

プロジェクトリーダーとして2015年から〈バンパーの高意匠化を実現する金型構造開発〉を手がけることになった。より複雑で広範囲なアンダーカット(凹凸部)を持つ樹脂成形部品を、いかにして金型から取り外すか。研究所・工場・EG(ホンダエンジニアリング)総勢約30名以上のメンバーが携わった。

Uchi's Will: Section 03

独自

「他社と同じでは意味がない」

まずは、国内外の他社のクルマを徹底的に研究した。製品形状を見れば、金型の構造はほぼ分かる。すでに量産化されている、実現が約束された技術だ。だがそれは、実現できる製品形状が制約されることも意味する。なにより、後追いに過ぎない行為を、Hondaでは開発と呼ばない。

Uchi's Will: Section 04

3→1

「工程・構造をどれだけシンプルにできるか」

以前からEGでは、数多くの画期的な金型技術を新開発してきた。それを可能にしたのは、困難な局面にぶつかっても、けっして諦めないという姿勢である。他社が金型内の部品を3工程(部品)で動かしているなら、1工程(部品)で取り外せるようにしよう。そのための模索が繰り返されていった。

Uchi's Will: Section 05

ヒント

「じっと考えていても答えは出ない」

開発には、金型に使われる鉄と、成形される樹脂材料の知識が求められる。課題を解く鍵は、どこに転がっているか分からない。開発に追われていても、関連する展示会や、業界横断の技術交流会には必ず足を運んでいた。ところが今回のヒントは、もっとも身近な足下にあった。

Uchi's Will: Section 06

パパ

「これはいける!」

ある日の晩、5歳になる娘が、おもちゃの宝箱を差し出した。鍵が壊れて、開かなくなったのだ。機械屋であるパパの、腕の見せどころである。工具片手に分解して蓋が開いた瞬間、思わずハッとした。鍵の引っかかり部分が外れる動きが、まさに追い求めていたものだったのだ。

Uchi's Will: Section 07

前のめり

「メンバーが楽しんでくれている」

とはいえ、あくまでアイデアにすぎない。実際の金型に落とし込むとなると、壁となる技術課題が次々と抽出された。リーダーが手を出しすぎたらいけないぞと意識するまでもなく、メンバーたちが全員、面白がって前のめりになっている。1/2モデルをつくり、検討会を何度も重ねていった。

Uchi's Will: Section 08

挙動

「どこまでを開発とするのか?」

初期構想から約1年、実機を想定した試作機の樹脂成形にまでこぎ着けた。一息ついたのも束の間、品質のムラが生じ始めた。量産技術として成立させなければ、EGの開発は終わらない。剛性の問題を突き止め、約1年かけて挙動を抑え込んだ。実機ラインでの検証が、いよいよ始まろうとしている。

Uchi's Will: Section 09

のびしろ

「まだ開けられていない宝箱がある」

CAD/CAM/CAEや3Dカメラといったツールによって、精度や品質、作業効率の向上を図ってきた。それでも、匠の技ともいえる人の手に適わない側面を持つのが、金型の世界である。機械化やシステム化の余地が残されているだけに、生産技術の開発エンジニアとしての醍醐味は大きい。

Uchi's Will: Section 10

最小限

「世界一でありたい」

これからの夢は、プレスや溶接など他モジュールも含めた、工場全体のラインの工程数を最小限にし、シンプルかつコンパクトなラインを構築することだ。それをなぜHondaでやるのか?と問われたなら、彼の答えははっきりしている。つねに世界一の存在でありたいから。EGの社内には、そこを目指せる風が吹いている。

PROFILE

内智幸

金型生産部/金型設計

幼い頃から、クルマやオートバイ、電車や飛行機といったモビリティーが好きだった。大学では、理工学部で、機械創造工学を学んでいた。Hondaを受けたのは、OBやメディアの情報から、チャレンジングで自由闊達な社風だと知ったからだ。入社後は、バンパーやインパネの金型開発に携わってきた。すぐに成果が出なくても、自分さえ諦めなければ、ストップはかからない。とことん挑戦できる、開発職にとって恵まれた環境だと感じている。

Tomoyuki Uchi